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2022.02.28
次の転職先を決めないで退職した方が「失業手当をもらいながら転職活動します!」というのをよく耳にしますが、どういう条件でもらえるのかについては知らない方も多いのではないでしょうか?
実は失業手当は、会社を辞めた人全員がもらえるものではないんです。
今回はいざという時に役立つ失業手当についてお話します!
■失業手当とは?
失業保険とは、雇用保険に加入している人(被保険者)が離職した後に再び働く意思がある人を対象に、一定期間の生活費を補填する雇用保険で定められた給付制度です。雇用保険では「基本手当」と呼ばれており、社会保険制度の一つとして位置づけられています。
離職後の生活費の一部を給付することを通じて、自分の意思で再就職先を選ぶという職業選択の自由を保障するためにも、失業保険は機能しているわけです。
(引用:失業保険とは?)
財源は私たちの給料から毎月引かれている雇用保険料です。
失業手当、失業保険、失業給付金など様々な名前がありますが、正式名称は「基本手当」です。
このブログでは一般的に馴染みの深い「失業手当」で統一します。
■失業手当の受給条件
①会社を退職しており、尚且つ再就職の意思があること
退職後に
・自営業を始める
・学校に通い始める
・家業を継ぐ
・次の転職先が決まっている
という方は受給条件から外れます。
しかし、病気やけが、妊娠出産育児などですぐに就職できない場合は、ハローワークで失業給付金の受給期間延長手続きを行うことができます!
↑ハローワークのPDFが開きます
②会社を辞める日の直近2年間の間に雇用保険に通算12ヶ月以上、加入していた
雇用保険の被保険者期間が受給条件に関わってきます。
※被保険者期間は、雇用保険の被保険者であった期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1カ月として算出します。
難しい表現になってしまいましたが、雇用保険に加入している会社で過去2年間の間に12ヶ月以上勤務していればクリアです。
これは自己都合退職した際の条件で、会社都合退職の場合は会社を辞める日までの1年間の間に6ヶ月以上、雇用保険の被保険者期間があれば大丈夫です。
会社都合退職と自己都合退職についてはこちらをどうぞ!
会社の倒産などにより退職し、失業手当を受給する人を「特定受給資格者」と言います。
特定受給資格者以外にも「特定理由離職者」であれば会社を辞める日までの1年間の間に6ヶ月以上、雇用保険の被保険者期間があれば受給対象者になる場合があります。
特定理由離職者の場合
自己都合による退職でも、自分の意思に反する正当な理由がある場合は「特定理由離職者」に認定されます。特定理由離職者には、主に以下の人が該当します。
・有期労働契約の更新を希望したが、認められず離職した人
・出産や育児により離職し、受給期間の延長措置を受けた人
・父・母の扶養や介護など、家庭事情の急変により離職した人
・配偶者や扶養親族と別居生活を続けることが困難になり離職した人
・特定の理由で、通勤が困難になり離職した人
・企業の人員整理などで、希望退職者の募集に応じて離職した人
■失業手当の申請方法
下記のハローワークのサイトをご覧ください!
■失業手当はいくら貰えるのか
おおよそ退職前の給与の50~80%の金額になり、失業保険の金額は
基本手当日額 × 給付日数
で計算します。
(あくまでの目安の金額です。)
まずは基本手当日額を計算しましょう!
①賃金日額を求める
賃金日額 = 離職前6ヶ月間に支払われた給与の合計金額 ÷ 180日
で計算します。
賃金日額で気をつけることは2つあります。
・給与に賞与は含まれない
・上限額と下限額があり、計算式で求めた金額が上限額を上回る場合には上限額を、下限額を下回る場合には下限額を賃金日額とする
賃金日額の上限・下限
②基本手当日額を求める
先程計算した賃金日額に給付率をかけ、基本手当日額を求めます
基本手当日額 = 賃金日額 × 50〜80%
給付率
※年齢が60〜64歳の場合は11,000円
※※年齢が60〜64歳の場合は45%
また、基本手当日額にも上限と下限があります!
次は給付日数です。
どのくらいの間、失業手当を受け取れるかは退職理由により異なります。
自己都合退職の場合
会社都合退職の場合
失業保険は手続き後にすぐ受け取れるというわけではありません。
ハローワークで手続きをした日(受給資格決定日)から7日間はどんな理由で退職しようと、すべての人が失業手当を受給できない期間となっています。
これを「待期期間」と言います。
特定受給資格者と特定理由離職者はこの待機期間のあとに失業保険を受け取れますが、自己都合で退職した方はさらに2か月間の給付制限があります。
その為、待期期間7日間+給付制限2ヶ月のあとに失業手当を受け取れます。
ただしどの場合でも実際に失業手当が振り込まれるのは受け取れるようになってから1か月後になるので、注意が必要です。
では、出そろった基本手当日額と給付日数で実際に計算してみましょう!
<例>28歳の会社員(月給28万円/6年勤務)が会社都合で離職したケースの失業手当受給額
- 賃金日額 = 28万円 × 6カ月 ÷180 = 約9,333円
- 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50~80%) = 約5,812円
- 受給額 = 基本手当日額 × 給付日数 = 5,812円 × 120日 = 697,440円
上記のケースでは、会社都合による離職のため、受給資格認定後7日間の待期期間を経て、70万円ほどの失業手当をもらえるという計算です。
これが、同じ条件で自己都合による離職だった場合、以下のようになります。
<例>28歳の会社員(月給28万円/6年勤務)が自己都合で離職したケースの失業手当受給額
- 受給額 = 基本手当日額 × 受給日数 = 5,812円 × 90日 = 523,080円
自己都合による離職の場合は、給付制限が設けられるため、待期期間+3カ月後に52万円ほどの失業手当がもらえるということになります。
なお、正確な基本手当日額を算出する計算式は複雑なため、実際の給付額を知りたい場合はハローワークに問い合わせましょう。
■転職先が見つかると「就職祝い金」がもらえる
失業保険受給中に転職先が見つかった場合、失業保険は受け取れなくなりますが、就職祝い金の受給資格を得るかもしれません。
就職祝い金についてはこちらのブログをどうぞ!
期間を空けずに転職する場合はあまりお金の心配はしなくていいですが、退職してから転職活動をする場合、失業保険が助けてくれるかもしれません。
事前にチェックをしておきましょう!
文責:梅沢
中途採用だけでなく、複数の会社の新卒採用も担当中