- ヒトナビ通信記事
2020.06.11
経営者・人事責任者の方の為のヒトナビ通信(2020年6月号)
今回のヒトナビ通信は、これから高確率で起こりうる
【人材流出】についてお伝えします。
今回の新型コロナウイルス感染症による、従業員の心理状況を簡単に記載します。
緊急事態宣言発令とパチンコ店営業自粛
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休業による自宅待機
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何かを学ぶよりも現状に不安を抱きはじめる
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SNSやテレビでのパチンコ店への誹謗中傷が更に不安を煽る
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営業が再開されたが、客数と売上の大幅な落ち込みを体感して更に不安になる ↓
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周囲や会社から「これからの展望の話」ではなく、「厳しい」という発言が増えてより不安になる
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給与や賞与に影響が出ると噂がでてきて、更に不安になる
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現状の転職は時期が厳しい事を知っているので、働きながら他社状況見始める
4月以降は従業員(スタッフ)の心情はプラスよりもマイナスに振れやすい環境です。
営業を再開しても、明らかに売上・客数が減っている店舗が多い為、不安な心情が増幅しています。
現在は有効求人倍率が3月以前よりも低くなりましたが、今後異業種含めて少しずつ回復してくると、同業・異業種への流出がほぼ間違いなく増えます。
それを事前に予測した上で、今から対策を行いましょう。
対策とは採用することもありますが、今回は離職を防ぐことを第一優先に考えて頂きたく、その内容でお伝えします。
■働きながら転職活動するヒトが増えている
今回の一連の中で、営業・休業の判断、休業補償の割合など、企業により対応に違いがみられました。
従業員の方は、将来に対する不安・恐れが大きくなり、今いる環境が危ないと感じ転職活動をされる方が増えました。
実際に当社パチンコ転職ナビ調べでは、今年の2月3月と4月5月を比較してみると、興味深い数字がでました。
【求職者】
新規登録者
2020年2月3月
退職済:95人
在職中:68人
202年4月5月 2月3月比較
退職済:76人 (-19人)
在職中:146人 (+78人)
直近2ヵ月(4月・5月)で在職中の求職者が78人も増えました。
※因みに4月5月は求人はほとんどストップしている状況でした。
求人募集がストップしている状況にも関わらず、4月5月だけで企業に在職している方が新規で146名も転職活動を始めたという状況です。
もちろん、必ず転職するわけではなく興味本位の方も多くいらっしゃいます。
ただ、それでも興味本位で他社情報に興味を持っているという従業員の心理状況は理解した上で今後の対策を講じてください。
■人材流出に備える2つの対策
① 採用の間口は常に開いておく
人材を採用しなくてもよいので、採用間口は閉めないでください。
今だからこそ書類選考や面接を行うことで、人材の心理状態を知ることができるため、従業員の心理状況も把握しやすくなります。
ヒアリングした内容を基に、客観的視点で従業員へフォローができます。
② 対価・将来性・経営者の考えを共有
従業員が会社に対して不安を頂く主な項目は3つです。
- 対価(給与など)
- 将来性(財務状況など)
- 経営者の考え
この3つが従業員に伝わっているだけで先ほどの不安は大きくリスク軽減できます。
例えば、経営者から
「どんなことがあっても1年間給与を払える体力が会社にはある。」
「うちの会社は解雇しない。家族だから守る!」
こういった言葉を経営陣が社員に言葉で伝えるだけでも社員の不安は軽減されます。
会社の将来性については、共有できる範囲で財務諸表(BS・PL・CF)をもとに説明し、会社の経営状況は問題ないことを伝えることも有効です。
大切なことは、言葉と数字で共有することです。
言葉だけ上手く伝えても説得力がないので、必ず具体的な数字も一緒に伝えましょう。
■具体的な事例
▼東海でパチンコ店10店舗以上運営する企業の事例
社員に向けた社長からの直筆の手紙
手紙の内容は、「パチンコ店がメディアで言われようのないバッシングを受けているが、どうか安心してほしい。社員やその家族に理解してもらえなければ、直接会いに行き、説明します。」
というメッセージを、各店に直筆の手紙で送られました。
今時、手紙?・・と思われる方もいるかもしれませんが、こういう時だからこそ、LINEやメールではなく温かみのある直筆の手紙を送ることでマズローの法則の第二階層である【安心】を満たしてあげることが出来るのです。
些細なことですが、こうした取り組みを行うことで社員の不安は軽減できます。
ただ、今回の事例は、あくまでも経営者と社員との信頼関係が築かれているケースとなりますので、
社員との信頼が築けていなければ、言葉と数字で共有し、不安を取り除いていきましょう。
この記事の執筆:河合
キャリアアドバイザー
企業リクルーター